えまのんの雑記

アニメやゲームの感想を書きます。

最高な物語の最悪なお話 メイドインアビス 深き魂の黎明 感想

はじめに

本記事はアニメ本編のネタバレを含みます。

ご了承いただける方のみ閲覧ください。

 

 

きっかけ

 私がこの作品と出会ったのは、2017年に放送された同作品のTVアニメシリーズでのことだった。

 

未知なる生物や人智を超える力を持った遺物を抱え、それらを守るかのように帰る者に呪いを掛ける巨大な縦穴"アビス"。

如何に恐ろしい呪いを受けようともアビスの魅力に憑りつかれて探検を続ける探窟家たち。

探窟家を夢見る少年少女。

何よりも衝撃的だったのが、かわいらしいキャラデザからは予想できないようなグロテスクな描写が飛び出してくることだった。

私はずっとワクワクした心持ちでこの作品を見ていた。

この時から私もアビスの魅力に憑りつかれた人間の一人だったのかもしれない。

 

 特に原作者のつくしあきひと先生に「原作越え」と言わしめた第十話はこの作品の本質というか、アビスの厳しさを視聴者に叩き付けた回だったわけだが、例外なく私もアビスのもう一つの一面を知った一人だった。

タマウガチの毒が全身に回らないようにレグがリコの腕を切り落とすシーンに私は絶句した。

みるみるうちに顔色が悪くなっていくリコ、それを心配そうに眺めるレグ。

腕を切り落とすために腕の骨を折ったり、ナイフで腕を切り落とそうとするも上手くいかずその痛みに絶叫するリコの姿はまさしく絶望という言葉がぴったりだった。

リコの絶叫シーンは目と耳を同時に塞ぎたくなるほど悲惨なもので、私は画面を直視することができなかった。

横目でちらちらと見るのが精いっぱいだった。

しかし、この一話をきっかけに私がこの作品の沼に嵌っていったのも事実である。

 

 アビスの魅力に一握りの強烈なスパイスが加わることでこの作品の魅力は何倍にも向上する。

過剰ともいえるようなグロテスクな演出がこの作品の良さを200%引き出していると確信している。

 

 TVアニメシリーズが終了し当然のように続きが気になった私だが、できれば初見でアニメを見たいという気持ちから、原作を買うのは止めておいた。

その後劇場版の総集編2作品が公開され、近所の映画館にはなかったため少々苦労しながらも見に行き、ようやく今回の新編が公開された。

待ちわびた新編がようやく公開されたとあっては、当然見に行くという選択肢しかなかった。

 

感想

※ここから映画のネタバレになります。

 完全初見で映画を見ようとしたわけだが、流石に何の情報も入れずに見るということは叶わなかった。

とはいえ知っていた情報というのも次の話はボ卿のお話で、なかなかにエグいことをやっているくらいのアバウトな情報くらいで留まっていたので、そこまでの深刻なネタバレは回避できていた。

そもそもこのくらいの情報はここまでの話から推測できるような内容だしね。

 

映画はマルルクの日常というこの作品には似つかわしくないゆるーい短編からスタートした。内容はマルルクくんがキャンプにいるほかの探窟家たちの部屋を掃除するというもの。

一癖も二癖もある探窟家たちの部屋は当然綺麗に整頓されているわけもなく、それに振り回されているマルルクくんを見るのがただただ楽しいだけのアニメだった。

そういえば、マルルクくんって公式で男の子なのか女の子なのか言及されていないんだよね…?

どっちなんだろう。。。

男の子でも、女の子でもどっちでも可愛いんだよな。

男の子なのか女の子なのか分からない危うさがマルルクくんの魅力の一つでもあるから一生性別不詳のままでいてほしいな。

どっちでも通用するようにマルルクきゅんって呼ぶことにしよう

 

そんな感じのあまりにも弱すぎるジャブで準備運動したところでいよいよ本編が始まった。ミーティとナナチの一件のあと、ナナチが仲間に加わって旅を再開する一行。リコの希望でライザの好きだったトコシエコウが群生する花畑へ訪れた時、レグは何者かの気配を感じる。

気配の正体はボンドルドの部下の一人だった。男は6層にしかいないはずの虫”クオンガタリ”が大量に発生している原因を調査しに来たという。

 

………。

あぁ。…これだよ、これ。これがメイドインアビスだよ。

”これ”というのは、クオンガタリの生態のことだ。クオンガタリは生物に寄生し、養分を吸い取って繁殖する。ただ養分を吸うだけではいかないのがアビスの生物の恐ろしいところだろう。養分を吸う生物が完全に死んでしまわないように自ら寄生している生物の胃袋へと入り、自らを養分とする。

もうね。無茶苦茶気持ち悪いの。寄生されていたのは探窟家のグループで、もう動くことすらままならないのに生かされ続けている。まさに生き地獄とはこのことかといった絵面。つくし先生はよくこんな気持ち悪いの思いつけるよなぁ(誉め言葉)

 

 この辺から私は映画が終わるまでずっと

(´゚д゚`)

こんな感じの顔してたように思う。

もうね、普通の顔に戻すタイミングがないくらいストーリーがエグいんだもん。

 

部下の男は”今は”リコたちをどうこうするつもりはないとのこと。調査を終えた男はトコシエコウもろともクオンガタリを火炎放射で燃やしてしまう。リコたちは炎から逃げるようにその場を後にする。

 

その後は特に苦労する描写がないままボンドルドのいる前線基地に到達する。深界6層に挑むには前線基地に行くより方法がないため、避けては通れない道だ。そこで一体ボンドルドたちにどんな扱いを受けてしまうのだろうと怯えていると、迎えてくれたのはプルシュカという可愛い女の子。それにしてもメイドインアビスは絶妙にロリコンのフェチ心を刺激してくるな。

プルシュカは同年代の子供が来たとリコたちを歓迎してくれている様子。そのすぐ後にボンドルドにも遭遇するが、プルシュカと同様に歓迎してくれているみたいだ。ボンドルド、実は結構いい奴だった?

 

いや、待て。騙されるな自分。こいつはナナチやミーティをひどい目に合わせた張本人だ。簡単に心を許してはいけない。

 

ボンドルドは旅で疲れただろうから部屋で休むといいとリコたちに勧める。

ナナチ以外は思ったほど悪い人間では無い様だと勧められるがままに部屋に移動する。疲れていたのか、リコはあっという間に眠りについてしまう。しかし、リコがトイレに起きた時一緒に寝ていたはずのレグとナナチの姿が見えない。

 

ナナチは自分が前線基地に残るからリコとレグのことは見逃してほしいとボンドルドと交渉中。しかしボンドルドはその申し出をすぐに棄却した。なぜなら、既に

レグはボンドルドの部下たちによって絶賛研究中!!

されちゃってたからね…。

見た目だけでなく急所まで人間同様に作られたレグに部下たちは興味津々。肌に刃物が効かないと分かるとレーザーを当てて切ろうとする。あまりの痛みに絶叫し、尿を漏らしてしまうレグ。痛覚があることや、レグの尿をすかさず採取し成分が人間とほとんど変わらないことに興味津々な部下たち。

だめだこいつら。早く何とかしないと。

 

実はここのシーンだけ映画を見る前に聞いてしまっていたんだけど、想像してた以上にやばかった。これ人によっては性癖が歪む原因になりかねないんじゃ…。私の右斜め前あたりで見てた中学生くらいの女の子たちは将来が有望そうですね。

 

 レグのピンチに駆けつけたナナチは部下たちを追い払い、レグと共に逃げようとする。強烈な痛みで意識が朦朧とする中、ボンドルド達から距離を取ることに成功する。かなり端折るがナナチの作戦の元、なんとかボンドルドを倒すことに成功する。

…かのように思われた。

突然プルシュカの隣で戦いの様子を見守っていた男がボンドルドの仮面を取り、自らの頭に身に着けだした。すると男がボンドルドの声を発し出した。

この男、マジで何でもありかよ。しかも前の体よりもかなり戦闘能力がアップしているらしく、レグはあっという間に倒されてしまう。一瞬希望が見えたかと思いきや、あっという間に絶望に叩きつけられる。

 

三人は体制を立て直し、もう一度ボンドルドを倒す計画を練り始める。

ナナチの計画のおかげでボンドルドの意表をうまく付くことができ、苦戦しつつもボンドルドの今の体を倒すことに成功する。

 

この戦いを見て思ったのは、リコ、レグ、ナナチの3人の役割で、リコとナナチのブレインとしての役割が被っていると感じていたが、知識の種類が違うんだなと改めて認識した。

リコの知識は本などで学んで得た知識という感じだが、ナナチはアビスでの生活やボンドルドとの研究生活の中で身につけた生きた知識という感じ。それぞれで役に立つ場面が違うんだなと思った。

 

戦いの中で印象的だったのはボンドルドがプルシュカによる祝福を受けたことでさらなるパワーアップを遂げた場面だった。ボンドルドいわくアビスからの祝福を受けるための条件は、呪いを受ける側から祝福を受ける側に対する愛情だという。あれだけのことをされておきながら、それでもなおボンドルドを愛し続けるプルシュカにたまらない気持ちになった。

 

あとはリコがカートリッジの作り方を思いついた過程をすぐに見破ったときにボンドルドが言った「あなたは思ったよりもこっち側なのかもしれない」 という言葉が印象的だった。ボンドルドもリコも知識欲が異常でリコは年齢の割に洞察力や頭の回転が速い。

ボンボルドとリコの本質的な違いは何かというとそれはやはり倫理観の違いだろうと思う。ただ、倫理観なんていうもの凄く曖昧な基準でボンドルドを悪と決めつけるのはいかがなものかと思う。身寄りの無い子どもたちを騙して実験道具のように扱う行為は今の日本の基準で考えれば許されるものではないと思う。しかし、倫理観というのは時代や地域によって変わりうるものだと思うし、メイドインアビスの世界観でそれが悪いとはっきり言えるだろうか。卑しい身分の人間が物同然に扱われることなんて地球の歴史でもあっただろうからメイドインアビスの世界でボンドルドを批判するのはなんか違う気がする。

私はボンドルドのことは最低だとは思うけど、純粋に真実を追い求める姿勢とかを見るとどうしても嫌いにはなりきれないなと思ってしまう。

最後のリコたちを見送るシーンでの「あなた達の思いが勝っただけ」という潔い姿も彼を憎めない要因だった。

まぁ胸糞には変わりないんだけど。

 

終わりに

ここまでの感想を一言でいうと、最高に面白かったけどあまりに胸糞だったということになる。それが記事タイトルの「最高な物語の最悪なお話」が意味するところである。

長々と書いてしまったが、このへんで筆を置きたい。もし読んでくれた方が居たなら、コメントを残してくれると非常に嬉しい。

 

蛇足だが、「ナナチは」と入力すると「ナナチはかわいいですね」が予測変換で出てくるの完全にバグってるだろ。